平澤岳(ヒラサワ ガク)

アルペンスキー

プロフィール

東京都出身、リレハンメルオリンピック、長野オリンピック日本代表。
全日本選手権3回優勝。1996年世界選手権15位、2002年引退。
2002年よ元経団連事務総長三好正也氏の下でマーケティング・企画仕事をし、様々なイベントの企画・運営を行う。
2007年7月に株式会社デボルターレ設立。
現在は株式会社デボルターレ代表取締役、株式会社Capable社外取締役、
アルペンスキーU16の育成を目的とした、NPO法人ナスターレース協会の会長を務める。

<好きな食べ物>

1.お寿司

2.スープカレー

3.パスタ

<ご機嫌の価値>

1.新しいアイディアが浮かぶ

2.前向きに考えられる

3.やる気が出る

<関連情報>

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インタビュー

辻先生)dispoのアスリートの中では1番付き合いが長いと言っても過言ではない、アルペンスキーの平澤岳くんにインタビューをさせていただきたいなと思います。まず、アルペンスキーの魅力を語ってくれますか?

 

平澤さん)レジャーとしてのスキーも皆さんやったことがある人も多いと思うんですけど、もともとレースという競技としてのアルペンスキーでいくと、自然との対決というか、戦う相手が自然だったりポールセットだったりして、要は人ではないですよね。もちろん競技なので、1位から100位まで順位づけはされるので、人との競技ではあるんですけど、自分が戦うべき相手はコースだったり、そこを誰よりも早く滑り降りるというのが勝つためのまずひとつの目的にあるので。自分自身や自然や雪、雪質とか雪の斜面とか、そこに立っているポール(旗門)ですね。制限されたところを滑って、なおかつ誰よりも早く滑らなきゃいけないので。そこをいかにこなすか、スタートからゴールまで人よりも早く滑る方法を見つけるというのが、魅力ですかね。

 

辻先生)自然と触れるし、自分自身と向き合わなきゃいけないしね。

 

平澤さん)そうですね、コンディションもどんどん変わっていくので、それこそ1番スタートの人と60番スタートの人では、全く違う環境で滑ることがあるので。そういう意味でも同じ条件下では全くない中で、選手っていうのは戦わなきゃいけないっていうのが、当たり前のようにそこにあって、それを受け入れながらベストを尽くすんですね。

 

辻先生)理不尽は感じたりしないの?

 

平澤さん)いや、そういう世界なので。1番スタートの時は晴れていて、自分がスタートする30番の時は、猛吹雪になってるみたいなことたまにはあるんで。それは逆も然りですよね。1番スタートの時にすごい吹雪いてて、いきなり晴れてきてめっちゃ視界いいみたいな時もあるので。水泳とか、囲われた体育館の中とかでやるスポーツではないので、自然の中でやるスポーツとしては、それはもう小さい時から受け入れるしかない。

それはアルペンスキーもジャンプもみんな一緒で、アルペンはコンディションがどんどん変わっていく、雪、例えば1人目と3人目でも既にもうコースの雪が削れたりとか掘れちゃったりとか、みんなが同じ場所でターンしますのでそういうことも踏まえての競技ですね。そういう環境下でやる戦いです。

 

辻先生)そうだよね。器が広いね。

 

平澤さん)器が広いかどうかはまた別問題です。そういうものだと受け入れているしかないので。その中でもうアドバンテージ取るしかないですからね。

 

辻先生)どれくらいのスピードが出るんですか?

 

平澤さん)僕は基本的に4種目全部やっていて、一番早いのが滑降ダウンヒルって言われる種目で、2番目に早いのがスーパー大回転っていう種目でどんどんターンが小さくなってきてスピードは遅くなっていくんですけども、もっとテクニカルになってくのが大回転で。僕が一番成績が良かったのが、回転種目、スワロームという種目ですね。スピードは一番出ないんですけど、一番テクニカルで技術系って言われる細かいターンをしていくというもので。一番早いダウンヒルとかだと僕レベルの経験として、スピードとしては168キロとか。

 

辻先生)生身でやるんだよね?

 

平澤さん)生身で。ツルツルのピタピタのスーツを着て、あの斜面を落ちていくんです。

ダウンヒルとスワロームというのはプロテクターをつけて、ポール(旗門)にバシバシ当たりながらクリアしていく。ギリギリのところをほんとに数ミリ数センチのところで旗門をかすめていくような。

 

辻先生)ダウンヒルじゃなくても、平澤くんがやっていたスワロームの競技も、それなりに斜度もスピードもあって、普通の人から見たら、すげーところ落ちていくような感じだと思うんだけど怖さみたいのはないの?

 

平澤さん)怖さはあまりなかったですね。ただワールドカップとかオリンピックになればなるほど、水を撒いてカリカリするコースが多いんですよ。ツルツルのカリカリの氷の上で、しかも斜面で、しかもそれがねじれてたりとかポールセット自体がすごく難しかったりとか、リズム変化があったりとかっていうことに、その瞬間で対応していかなきゃいけないので。しかも立っているポールというのは試走ができないので。インスペクションといって、どういうポールが立っているのか、どういうコースでどういうポールが立っているのかっていう下見はできるんですけど、あくまでゆっくり、ほぼ止まるような状態でどこにポールがあるみたいのを見るだけで、実際にフルアタックして滑るのは一回ポッキリなので。どれぐらいのスピードでそこを通過していくか、その時にどうなっているんだろうみたいなのものはインスペクションの時に想像しなきゃいけないので。そういう意味では、インスペクションしてコースセットを知った状態で、スタート前に主観的なイメージトレーニングで何十回もコースを自分なりに滑って。それだけのスピードでこのポールセットに入っていったらこういう失敗を自分がするであろうことに対する事前の対策みたいなものを考えたりとか。実際、イメージで頭の中で滑っていくとポールセットに突っ込んでいって転ぶんですよ。そのスピードで自分のタイミングでいくと、明らかに失敗してボンってアウトする事まで想像して、そうならないように、スタート前にこういうラインどりにして、ここはちょっとアウトインで少しラインを切り上げてここに入っていかないとこのセクションをクリアできない。みたいなものを一生懸命何本も滑って、最速で滑れる自分をイメージして。実際滑ってみると、それにすごくマッチする時もあれば、手前でリズム壊されてぐちゃぐちゃになって全然違う場合もあるし。

 

辻先生)その恐怖に打ち勝つことは、もう当たり前のようになっているから普通で、どちらかと言うとイメージしていくプロセスが簡単ではないというか、それがすごく要求される脳の心のスポーツでもあるんだね、そういう意味では。

 

平澤さん)そうですね。怖さがあるとしたら、難しいセットを自分が最速で行けるかどうかということに対して、やっぱりちょっと自信がなかったりすると、怖さだったりとか。

 

辻先生)失敗しないようにしようと思うってことは突っ込まなくなるから、突っ込まなくなるってことはタイムが落ちることだもんね。

 

平澤さん)はい。いかに人より早く滑ろうと思ったらリスクをかなり取りながらギリギリのラインどりとかで、ロスなく攻める。ってことは誰よりも早く滑るってことはやはりそれだけ難しいですよね。

 

辻先生)突っ込みすぎたらスピードは出るけれど、失敗するしね。

 

平澤さん)そうです。だからF1とかと近いですね。

やみくもに突っ込んだらオーバーランするし、でも安全なところで走ってたらみんなに抜かれるし。それを並んで滑るわけではないので、今、自分が良いタイムで滑っているのか、自分ではベストを尽くしててもすごい遅い場合もあるので。だから、ワールドカップとかだと、けっこう途中の歓声で判断しようろするというか。

滑っててゴール前の真ん中あたりで一回途中の中間タイムが出るので、そこでトップから何秒というのがでるので。自分のスタート番号で良いタイムを出していると、観客の多いヨーロッパとかだと、わぁっていう歓声が入ってくるので意外と自分悪くないんじゃないかみたいな。みたいなことを思っているときは、大体だめなんですけどね。夢中になって声も聞こえてない時のほうが意外と良いので。

 

辻先生)そうだよな。それがフローだもんね。

 

平澤さん)そういうのが試合ごとにちょっとありましたね。声が聞こえてきたり聞こえてこなかったり。

 

辻先生)スキーはいつから始めてたんだっけ?

 

平澤さん)スキーはそれこそ2歳3歳の頃から。雪山で育ってますんで。スキー場で。

 

辻先生)子供の頃はどんな少年だったんですか?

 

平澤さん)子供の頃はスキー以外のスポーツがからきしだめなちょっと太った子でしたね。運動できないのに、なんかスキーだけは速いなこいつみたいな。

 

辻先生)え!夏は何やってたの?

 

平澤さん)夏は普通に遊んでるレベルとかね、学校でちょっといろんな運動するじゃないですか、体育で。

 

辻先生)体育の成績が良かったりとかじゃなかったの?

 

平澤さん)体育の成績は多分悪かったですね。だから体育の成績悪くてもオリンピックいけるよっていう。

僕の小さい頃を知ってる同級生とかは、なんであんなに鈍臭いのにスキー履くとあんなに機敏になるんだみたいな、そんな感じでしたね。

 

辻先生)それは面白い。

 

平澤さん)全然違いましたね。その辺は。なんか。

運動って言っても滑るっていうのはまた別物ですね。

 

辻先生)滑るのは、まあ落ちるからね、自分でシュート打たなくてもね。

 

平澤さん)あとはターンの時に機敏に動くコツみたいなのがあるんです。やっぱり。スキーを履いた状態で。

 

辻先生)スキーに夢中になってた岳くんにお父さんやお母さん、ご両親はどんな声がけとか教育というかしてたんでしょうか?

 

平澤さん)父親がスキースクールの経営者で、教えるプロだったんですけど、あまり父親には教わった覚えはなくて。

 

辻先生)いいね。それはいいね。

 

平澤さん)小学校の頃はほんとに遊びでスキーしてたのと、スキー部のコーチがいたので、先輩たちの後ろを追っかけながら、中学年高学年ぐらいからほんとにワールドカップ出たいみたいな。けっこう周りの先輩とかもいたので、必然的に競技を本格的にやりたいっていうのはなんとなく意識はして。あと大会とかも出てたのでライバルに勝ちたいみたいなのとかはあったんですけど。

 

辻先生)じゃあ、スパルタで星一徹のようなお父さんじゃなかったの?

 

平澤さん)全く違いますね。口出しても息子があんまり言うこと聞かないってのもあったかもしれないんですけど。

 

辻先生)でも言うお父さんも多いからね。

 

平澤さん)今、僕もジュニアの協会の会長やってると、いろんなコーチとか親御さんと会うと、ずっとずっと子供になにか言い続ける親もいるし、コーチもいるし。うちはちょっと違って欧米風だったかもしれないですね。あまり言うタイプじゃなかったかもしれないですね。

 

辻先生)それは素晴らしい。お母さんはどんな声かけしてたの?

 

平澤さん)僕が小さい頃は普通にスキー部の部活動みたいな感じだったので、普通にのびのびやらせてもらってましたけど。うちのおふくろが1番ちょっとどうかと思ったのが、ワールドカップとかヨーロッパカップ出て海外回るようになって、ダウンヒルとかスピードの出る大会に出るじゃないですか。そうすると「危ないからゆっくり滑りなさい」みたいな連絡が前の日に来るので、えー!それは意味ないなぁみたいな。

 

辻先生)さすがお母さん。いいなあ。危ないからね。

平澤さん)「危ないからゆっくり滑りなさい」って言われても、それは仕事として無理ですみたいな。何言ってんのみたいな(笑)

そんな親に育ったんで、あんまりスパルタとかプッシュされたことはなくて。

 

辻先生)勝利至上主義で、結果エントリーさせてたわけじゃないんだね。素晴らしいよ。

 

平澤さん)ないですね。中学の頃に全国大会とか出てたんですけど、実際自分がスキー選手としてそんなに大成すると思わなかったんですが、スキーは取り組みたいっていうのがあって、いけるところまでいきたかったのでアメリカ留学したいって親にお願いして。

アメリカの方は文武両道な学校もあるし、最低限英語は喋れるようになるので。快く15歳の僕を海外に出してくれましたね。

 

辻先生)すごく寛容だよね。そのおかげで今いろんなことに役立ってるもんね。

 

平澤さん)そうですね。その時の4年間アメリカの高校で生活した経験が、英語も喋れて今の仕事にすごい役立ってますね。

 

辻先生)それはいいご両親だなあ。今はご自分がジュニアの子供たちの指導もされていて、今の教育とかに関して何か感じていることをありますか?

 

平澤さん)僕が前から日本の教育、学校にすごく感じているのが、スポーツ選手が勉強しなくてもいいという風潮を未だに持っている学校が多い。すごく嫌で。スポーツ選手だから勉強が免除されるっていうのはおかしな話で。もちろんプロになったらフルタイムでトレーニングすべきだと思うんですけど。

 

辻先生)仕事だからね。

 

平澤さん)せめて高校まで。まぁ大学もそうなんですけど。やっぱり勉強をちゃんとすべきだと僕は思うし。スキー含めてスポーツが勉強の代替えにはならない。

なので、僕が行ってたアメリカの高校、スキーアカデミーも、冬は午前中スキーのトレーニングして、午後はちゃんとお昼から夕方5時半までギッチリ5教科の5時間分の授業を受けなきゃいけないんですよ。

で、ABCDEFのAB取ってないとトレーニングさせてもらえないっていう。それでもオリンピック選手いっぱい出してる学校なんです。アメリカとかはやっぱり文武両道が当たり前だったりしてて。別にスポーツすごいできるからといって、大学単位あげますみたいのもアメリカは一切ないので。

辻先生)ないもんね。スキーの現場で今の子供たちもそういう感じでなんかスキーしかしない傾向はまだあるんだね。

 

平澤さん)ありますあります。特にスキーの強い高校とか。冬の間中ずっと、試合転戦するんですよね。国体予選があったりとか、高校選抜があったりインターハイがあったり、いろんな大会があって、冬は中学校に行かないんですよ。ある程度成績が出れば、大学は推薦でいけるっていうのがあるから、勉強しなくてもいいっていう風潮になってると思うんですけども。大学に行くことが目的ではなくて、人間形成のために、本来は大学で何を勉強するかってそこが。日本自体がどうも、大学入試がそうじゃないですか。入ることが目標みたいなっちゃう。多分スポーツ選手も大学に行けるんであれば、推薦さえ取れれば別に勉強しなくていいみたいなことがあって。それが本当にその子たちのためになるんですかっていうことを親が本当に考えるべきだし、コーチもそれを考えるべきだなと本当に思います。

 

辻先生)そうね。やっぱり認知的にも育たないし、非認知性もそれじゃあ育たないし。結局なんか中途半端で、その競技だけしかできないみたいになっちゃってね。最終的にそれで社会でてって、社会に出てからの人生の方が長いから、結局そこで挫折したり物事の考え方がちゃんと出来なかったりするやつがいっぱいいるもんね。

 

平澤さん)スポーツっていうのは人生のプラスアルファであるべきで、人生のなにかと替わってそこを埋めつくしてしまったら、それで食べていけるのはプロ野球選手とかいるかもしれないですけど。それでも40までじゃないですか。そのあとの人生どうするのっていう。過去の栄光にすがって生きるのか。

 

辻先生)人生の半分以上はできないからね。それは大きな課題だね。そういうことは変わってほしいと言いながらなかなか変わらない日本の現状はあるけれど。

スキー競技にあえて必要なメンタルっていうのどのように表現しますか?スキー競技ももちろんいろんなメンタルが必要なんでしょうけど、他の競技にももちろんメンタリティは必要で、だから僕はいろんな選手が付き合ってるんだけど。あえてスキーという立場のプロフェッショナルとして見た時の、どんなメンタリティが大事なの?

 

平澤さん)スキーに特化した話ではないと思うんですけど、自分のやってきたことに自信を持てるようなメンタリティ。一度も滑ったことがないような新しいセットとかに毎回チャレンジしないといけないんで。

辻先生とのセッションで、それこそ僕がずっと自分自身にも言い聞かせていたことでもあるのが、その自信の持ち方、自信の生まれる根っこというか。その理由が、自分が経験したからこれ強いです、みたいなものではなくて、自分がきちんとこれだけのトレーニングしてきたから自分はこのコースを攻略できるという自信を持つこと。

 

辻先生)結果による自信ではなくて、自分のあり方とか努力とか自分そのものを信じることによる自信ですよね。その自信の種類は確かにスキーだけじゃないかもしれないけど、スキーは特に、初めてやるからね。バスケットのリングなんて大体いつも3メートル5で決まってるわけだから。

 

平澤さん)動かないですから。

 

辻先生)やっぱり、いわゆる結果に基づく自信みたいなものに頼ってる人は、いつも揺らいでとらわれてノンフローになるわけだな。

 

平澤さん)そうだと思います。だから、一度先生に「僕の得意なコースと不得意なコースがあって」みたいな話をしてた時に「なんで?じゃぁ滑ったことないコース一生自信持って滑れないじゃん」みたいなことを言われて。それはそうだなって思って。じゃあ滑ったことないコースを自信持って滑るにはどうしたらいいんだろうっていうのを考えて。

それは自信を持つべきところが違うということを日頃から意識すべきなんだとわかったんで。

 

辻先生)そうだね。結果に伴う自信よりも、ビリーブしてプロセスの中から培った自分のあり方によってもたらされている、そのビリーブの延長線上にあるコンフィデンスがすごく忠実で自分で作り出しているからね。その感覚だよね。

 

平澤さん)だから、そこがちゃんとしてると自信を持ってレースに挑めるので、変な緊張も生まれないし、やっぱりそれはすごくいいフローに入りやすくなる気がしますね。

 

辻先生)そうだな。でもそれって人生も同じでね。仕事も何もかも一回やったことある仕事ってほとんどなくて、どんなことでもそうで、例えば今日だって、俺インタビュー死ぬほどやってるけど今日のインタビューだって初めてだから。

 

平澤さん)そうですよね。

 

辻先生)これ一回やってからやるってことないもんね。改めて思ったけど、それってすごく大事なことだよね。

 

平澤さん)その時の経験とか競技をやっていた時のメンタリティとか、その時に大事にしていたものが、今仕事にもすごく生きていると思うので。

やっぱりそういう意味ではスポーツやっていたってことはすごくプラスになっています。

 

辻先生)そういう意味ではね。そういう非認知的な能力みたいなもの。そこからdispoは心の大事さの中でも、揺らがずとらわれず機嫌よくやろうっていうことで「ご機嫌」」という言葉を大事にしてるけど、総じてどうしてご機嫌が大切なのかというのを改めて言ってくれますか?

 

平澤さん)仕事をしてても、現役の時もそうだったんですけど、人や周りに対して、まず自分がご機嫌じゃないと、人に対しての態度とかにも絶対に出るし。

それは総じて周りの協力も得にくくなるし、自分がやっぱりご機嫌でいることでトレーニングとか競技に関しても正しく良いマインドで取り組むことができる。難しい顔ばっかりしていると、体にも出て硬くなるし。会話をにこやかにする、他人に優しくするみたいな環境作りとか、自分のメンタルのコンディションを自分で作ることができると思うので。

ご機嫌でいることによって、やっぱり良いメンタル状態に入れることは結果として多いですよね。

 

辻先生)心が整っている、あらゆることのベースだよね。なかなかそのベースに気づけない人もいて、不機嫌のまま練習しているし、結果出そうとするし、人間関係も不機嫌なままやってしまってる傾向がすごく多いけどね。

 

平澤さん)実は現役の時に、当時フジテレビでワールドカップの番組やっていて、ゴールした時にフジテレビのカメラがいても、不機嫌に応えるのがなんか選手っぽいみたいのが一時あったんだけど。なんのメリットもないことしていたなと思いますけど。

逆に、僕が初回にワールドカップ出た時のインタビューで「どうでしたか」って言われて、「楽しかったです」って言って。コーチになんか怒られた思い出が。お前楽しかったじゃねーよとか言われて。でも今思うとだからそれが正しかったなと。

 

辻先生)それが本来のあるべき姿だよね。

 

平澤さん)そう。それを正しくないと言うチームの雰囲気は確かにその頃あったんだなって思いますけどね。後半は変わってきましたけど。

 

辻先生)楽しかったって言ってコーチに怒られるのは残念な世界ではあるよな。

 

平澤さん)そうですね。特に、まだワールドカップ初めて出た駆け出しの頃で。観客5万人だか、6万人いるおっきい試合だったので。それは今までの試合と違うし、興奮するし、とりあえずゴールして「いやぁ楽しかった」って言ったら、みんなに結構馬鹿にされましたけどね。楽しかったじゃねえよとか言って。

 

辻先生)今、平澤くんが日常も含めて仕事やスキーに関わっている時も、ご機嫌でいるために何か大切にしていることっていうのは何かありますか?しろくまコーヒー(注:平澤さんがプロデュースするカフェ)でコーヒーでも飲むことですか?

 

平澤さん)色々と辛いこと大変なことは仕事しててもたくさんありますし、必死になって考えても解決しない問題とかもあったりする中で、自分自身を維持する為には、心の拠り所的なちょっとした抜け穴というか、ハイドスポットみたいな隠れ家的なとこを自分で作るのことで保ててるかな。例えば、僕コーヒー好きなので、本当に美味しいコーヒーをゆっくり淹れるとか。あまりでもそこにこだわりすぎて、がんじがらめになるのもあれなんで。

 

辻先生)わかる。そうだよね。またそれがとらわれるからね。

 

平澤さん)実はセブンイレブンのコーヒーでも全然リラックスできるので。どこかでコーヒー淹れてきて、ちょっとふうっと一息入れて飲むとか。自分自身が考えをまとめるための時間を作るために、パソコン閉じてノート開いてとにかくボールペンと紙に書き出してみるとか。なんかそういう自分のリセットボタンみたいのをいくつか用意しておいて、リセットしますね。

 

辻先生)良いね。いつもとまたちょっと違う非日常性を短くても自分で作るって感じかな。

 

平澤さん)そうですね。それをなるべく身近に持ってこれるようにする。いきなり沖縄に旅行とかいってもなかなか出来ないけど、ちょっと気分転換にセブンイレブンでコーヒー買ってくるくらいはできるし。紙とペン出していろいろと書き出してみて、なんか絵描いてみるとか、マインドマップとか繋げてみるとかも。そういうリセットのためのボタンがいくつかありますね。

 

辻先生)あと二つ質問があります。1つは、いろんな競技がいるDispoのアスリート達のメンバーの印象はどんなふうに思いますか? 

 

平澤さん)結構面白い人たち多いですよね。あくが強いわけではないんだけども、やっぱり自分を持ってる人たちだったりとか。でも人とのコミュニケーションがすごく大事っていうことがわかっているというか。多分dispoに反応して関わっている時点で、なんとなくわかっている人が多いんじゃないかと思うから。逆に僕が一番人見知りな気がするので。みんなすごい気さくにわーわーやり取りしてて、アスリートってやっぱりコミュニケーション能力高い人多いんだなって思って。トップになればなるほど。

 

辻先生)このdispoのメンバー特にコミュ力高いよねみんな。みんな楽しい。

 

平澤さん)僕の時代は、メンタルトレーニングとかそんなに一般的じゃなかったり、メディアトレーニングみたいなものも一切されていなかったので。

最近の選手は、結構そういうのもやってるじゃないですか。だから尚更みんなコミュニケーション能力高い人多い。

 

辻先生)なんかみんなで、この間マウンテンランニングの宮地くんの誘いで何人か走りに。

 

平澤さん)走った後ビール飲んでる写真がアップされましたけど。

 

辻先生)いつかスキーとか誘ってみても良いよね。みんなで。

 

平澤さん)そうですね。いろんな種目できると面白いかもしれないですよね。

 

辻先生)いつか運動会やりたいし。

 

平澤さん)それこそ、あと興味あるのは茶道とかね。あのラクロス茶道の先生がいらっしゃるじゃないですか。やっぱりそういう、今まで自分のテリトリーではなかなか関われないところに関われると面白いかもしれないですよね。

 

辻先生)ぜひ引き続きお願いします。最後の質問は、平澤岳っていう人間が今、人生のどんなビジョンを持って、それに向けて大事に取り組んでることとか、仕事のことでもいいですし、最後にちょっと紹介してほしいんだけど。

 

平澤さん)自分で会社をやっているので、今コロナ禍でなかなか厳しい時代なので、まあちょっと安定して、社員の生活を守るということが最低限やらなければいけないことなんですけど。あとこれから本当にできるかわからないんですけど、2030年っていう10年後もしかしたら札幌のオリンピック誘致するかもしれなくて。そういう話がもともと札幌、北海道の方で出てまして。その頃にちょうど北海道新幹線が開通するとか札幌まで行くとかいうこともあって札幌オリンピックの話はまあまあ具体的に話し合われているんですけども。それがあるなしに関わらず、その頃に向けてやっぱり選手育成をしたいなとは思っていて。もちろんメダルを獲りにいくことも目標にした何かしらの組織は作りたいしサポートしていきたいんですけど、1番初めに話したような、文武両道の組織、学校がなかなかないっていうことに含めて、トップ選手を作るだけではなくて、そこに関わるスキーの選手たちが、その後により良い人生を歩めるような、ちゃんとした階段みたいなプラットフォームというか、文武両道のプラットフォームというか。そこから若い子たちが育っていってその一部がオリンピックのメダルに絡むぐらいの選手を育てたいし、それ以外の選手もスキーが人生のプラスになるような取り組みができるような。学校法人っていうとなかなかハードル高いんですけど、それに近いような、もしくは学校法人にプラスアルファの何かできるようなもので、本当に世界と戦える選手を作る。まあ世界で戦えるっていうのはビジネスでもスキーでもっていう意味ですけど。世界に出せる選手を育てたいなっていう夢はあります。

 

辻先生)素晴らしい。今も子供達の活動あったよね。

 

平澤さん)ナスターレース協会っていうNPO法人で今活動していて。そこはアンダー14、アンダー16のアルペンの選手に特化している大会を国内で主催して、そこで勝った子たちをカナダのウスラカップっていう世界大会に日本代表として連れて行くっていう活動をしていて。アンダー14、アンダー16で日本代表になるので、初めての世界大会の子達もいて、そういう世界の子達と同じ土俵で戦わせるっていう。言葉も含めて、世界を感じて、ずっと日本国内で試合に出ているのとはまた違う雰囲気で試合に出れるので。そういうのも経験させて、できればその子達が視野が広がって、英語やんなきゃいけないとか、もっと海外に出たいとか、海外ってもっとおいしいものがあっていろんな人がいるから面白いからちょっと留学したいって思えるようになるとか。そういう子供達の世界が広がるような活動を今はしています。

 

辻先生)それがもっと広がって継続的なアカデミーとか学校法人までなったらもっと素晴らしいなって思ってるってことだよね。

 

平澤さん)今だとそういう経験をさせようと思うとアメリカのアカデミーに送り込むしかなくて。他のテニスでも錦織選手も向こう行ってましたし、似たような環境なのかなって思うんですけど。

日本はスキー場多いですし、やっぱり雪国なんで、そういうのを将来やってみたいなとは思っています。

 

辻先生)ということで、長い付き合いの平澤くんこれからもまだまだ長く付き合っていきたいと思います。

 

平澤さん)よろしくお願いします。