大井一輝(オオイ カズキ)

アーチェリー

プロフィール

1995年生まれ、神奈川県出身
中学の時は音楽部でフルートを演奏していたが、高校からは心機一転スポーツに打ち込みたいと考え2011年にアーチェリーを始める。2012年のインターハイで優勝、その後もインカレや全日本選手権で優勝した。2013年に初めてジュニアで日本代表入りを果たしてから、2015年には世界3位に。その後もW杯、ユニバーシアード等様々な国際大会に出場した。現在は三菱電機株式会社に所属しながら競技を続けている。

<好きな食べ物>

1.ハンバーグ

2.鶏のから揚げ

3.お寿司

<ご機嫌の価値>

1.周りが笑顔になる

2.視野が広がる

3.挑戦意欲が湧く

<関連情報>

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インタビュー

辻先生)今日はアーチェリーの大井君。まだオリンピックを目指している現役のアスリートの1人で、年齢的にも若い方のアスリート。まず、大井くん的にアーチェリーの魅力ってどうですか?

 

大井さん)そうですね。まず選手側としての魅力は、もちろんスポーツなので他人と競うんですけども、自分をひたすら追求するスポーツというところです。満点が10点と決まっていて、それ以上のパフォーマンスは存在しないので。だから他の競技に比べて、連続で勝ち続ける事は非常に難しい競技だと思っています。

 

辻先生)ああ。そこの奥深さに魅力を感じているわけ。

 

大井さん)そうですね。自分との会話をひたすらし続けないといけない競技で、他人は本当に関係ないんですよね。スポーツの中でも数少ない部類だと思うんですけど。

 

辻先生)そうだねえ。

 

大井さん)自分を磨くっていうところにフォーカスできるので、それが自分の人生の目的とも一致する部分があるというか。競技者としてはそこに魅力を感じています。

 

辻先生)例えば射撃とかやってみたらどうなるんだろうね。

 

大井さん)射撃はすごく似たようなものがあるなって思っていて。これは本当に運とタイミングの問題だと僕は捉えているんですけど。逆に見てもらう側、観客としての魅力は、点数競技なので、ルールがそんなにわからなくても勝ち負けは誰でもわかるところ。

 

辻先生)そうだね。真ん中にあたれば勝ちだからな。

 

大井さん)あとは、ちょっと魅力と離れちゃうんですけど、スーパープレーがないのは残念だなって思っています。

 

辻先生)10点以上がないからね。あの真ん中の真ん中に当たったら、何かおまけがあったらいいのにね。

 

大井さん)そういうのもないですし、選手自身が妨害されることもないんですよね。基本的に外でやるので風とか雨はありますけど、すごく動きの激しいアクションがあるわけではないので、やっぱりスーパープレーと呼べるものは存在しないですね。

 

辻先生)1クールが6本セットだったっけ。

 

大井さん)予選はそうですね。6本か3本です。

 

辻先生)6本全部10点に当たって、6本目の矢が10点に当たった時にやったーとか言ってガッツポーズしたりするの?しちゃいけないの?

 

大井さん)しちゃいけないっていうルールは全然ないです。ただ、やっぱり6本だと、全部で72本打つので、そこに一区切り打たない人が多いですね。ガッツポーズすることで、さっきはこんなに当たったから次どうしようみたいな、余計な考えも生まれてくるので、しない選手の方が多いですね。

 

辻先生)そうだよね。もう淡々とやるって感じだね。自分の内観、悪い言葉で言うと葛藤とか自体もスポーツの中にあって、それを楽しんでいるっていうことだね。

 

大井さん)そうですね。

 

辻先生)風とか雨とか、午前中と午後のコンディションの違いとか、そういう自然の影響はあるの?

 

大井さん)結構強いと思いますね。一番が風ですね。打った矢が風に流されて飛んでいくっていうのは当然ありますし、打ち手自身も風でふられる。風も含めて、天気が唯一体に悪影響を及ぼす外的要因なので。

 

辻先生)そうだよね。射撃だったらもう自分以外の要素はゼロだけど、アーチェリーは矢だからシューっと風に乗って飛んでいって、どんなに強く自分を内観して完璧に打っても風の影響で3点になることもあるんだろ?

 

大井さん)もちろんありますね。例えば、自分がどんなにきれいに打っていても、打った瞬間に風が逆になったらものすごいところに飛んでいくので。。天候が良くない時に関しては、自分のパフォーマンス=点数とはならないですね。

 

辻先生)そういう、自分のパフォーマンス以外に風とか自然のコンディションに苦しんだ大会はあるの?

 

大井さん)しょっちゅうですね。まず1番最初に許容しなきゃいけないことが、自分のパフォーマンスも健康によって左右されるので、出せる上限が下がることなんですよね。だからまずそこについて許容しないと。例えば無風の時と同じように打とうとか、逆にそれにどんどんとらわれていくっていうこともありますし。それを許容したとしても、例えばその日自分が風を読めなかったりしたら、それも全く違うところに矢が飛んでいくので。

 

辻先生)なるほどね。的を狙う時って、的を狙ってるんじゃなくて、なんか覗いているんだったよね。

 

大井さん)そうですね。道具に照準器がついているので、その照準器を的の狙う場所、普段だったら真ん中の10点に合わせて打つようにしてます。

 

辻先生)風があれば、その照準器の射る所を変えていくわけ。

 

大井さん)はい。風も会場によって違うので、狙う場所を調整しています。

 

辻先生)通常、的までの距離は何メートルだったっけ。

 

大井さん)70メートルです。

 

辻先生)70メートルの中のどの辺に矢を通すっていうイメージなの?

 

大井さん)無風の時はそういうイメージあるんですけど、やっぱり風が吹くと自分が予期せぬ方向に飛ばして、風に乗って的に着くというようなイメージなので、風が強い時はそういった通すイメージではなくて、的のどこを狙うかのみですね。

 

辻先生)それでも10点当たる時もあるんだろ?

 

大井さん)ありますあります。

 

辻先生)それは狙えるの?

 

大井さん)それは本当照準器の場所次第ですね。あと、例えば内陸でやるか海側でやるかによっても風が含んでいる湿度が違うので、僕らは風が重い軽いって言うんですけど、海側の方がちょっとの風でも矢は風下になったりとかします。あとは、会場によっては的の前だけ吹く会場とか、真ん中だけ吹く会場とか、打ってる場所だけ吹く会場とかもあります。もうその中を風が巻いていて全くわからない会場とか様々あるので。それも全部経験ですね。

 

辻先生)嫌なスポーツだね。

 

大井さん)はい本当に嫌ですね。

 

辻先生)だってバスケだったら、3m5cmの高さにあるリングは動かないから、入るように打てば基本入ってくれるけどさ。それを邪魔するディフェンスがいて自分次第ではないんで、同じといっちゃ同じなんだろうけどね。

 

大井さん)だからこそアーチェリーっていう競技は、選手寿命が長いっていうんですよ。あくまでも弓の重さが決まっているので、体が必要なエネルギーって決まってるんですね。そこに対してあと積み重なっていくものって経験でしかないんで、経験のプラスの方が大きいので。だから40歳とか50歳でもできるスポーツ。

 

辻先生)今の世界チャンピオンは何歳なんですか。

 

大井さん)コロナ禍になる前の世界チャンピオンは、30歳ぐらいですね。40歳ぐらいの人もいます。

 

辻先生)日本チャンピオンは?

 

大井さん)今年(2020年)の全日本選手権は学生が優勝しました。

 

辻先生)おお。逆にいうと学生でもチャンスはあるってことでもあるんだね。

 

大井さん)はい。逆に言うと古川さん(古川高晴選手。オリンピック4大会連続日本代表。)でも勝ち続けることは難しいですね。

 

辻先生)大井くんがアーチェリーを始めたのは、高校だよね。

 

大井さん)はい。高校一年生からです。

 

辻先生)子供の頃はどんな子供だったの?大井くんは。

 

大井さん)子供の頃は、公園を駆け回っていて、結構外で遊ぶ子ではあったんですけど。おもちゃの取り合いだとか、遊具の取り合いだとか、そういうのは全くなくて、やりたいならどうぞ、みたいな。

 

辻先生)お父さんお母さんは大井くんにどんな感じで接してたの?

 

大井さん)やりたいことをやらせてくれたっていうのと、興味を持ったものに対しても一緒に向き合ってくれましたね。

 

辻先生)小学校の時に1番興味を持っていたものは何なの。

 

大井さん)僕は当時自然カメラマン。虫とか鳥とか、自然の中でそういうのを撮るカメラマンになりたかったんです。

 

辻先生)じゃあ撮ってたわけ?その自然の生き物。

 

大井さん)生き物撮ったりとか、スケッチとかを当時はしていた記憶がありますね。

 

辻先生)あ、そうなんだ。クワガタとかカブトムシとか、飼いたいというよりは、写真撮ったりスケッチしたりしたかったの?

 

大井さん)そうですね。なので結局クワガタとかカブトムシとかも、買わずに採ってきましたね。

 

辻先生)神奈川で育ったんだよね。

 

大井さん)神奈川で育ってます。

 

辻先生)自然はあったの?

 

大井さん)実家の周りが生産緑地地区っていう特別な地区で、緑を多く残そうっていう地区だったんですね。なのでたまたま自然に恵まれた場所で。

 

辻先生)それは恵まれたな。今でも虫とかあんまり苦手じゃないの?蛙とか蛇も。

 

大井さん)全然大丈夫ですね。

 

辻先生)うわお。わかりました。自然児だったんだね。そういう意味では。

 

大井さん)そうですね。まあ自然の中で暴れてる野生児ではないですけど、自然児でした。

 

辻先生)そんな大井くんが高校から大学にかけて、インターハイやインカレも優勝して、夢中になってきたこのアーチェリーという競技に関して、メンタリティとしてはどういうところが大事だと思っている?

 

大井さん)そうですね。レベル帯によって必要なものは違うと思うんですけど、本質は一緒だと思っていて。いかに自分の感覚を自分が信じられるかに尽きるスポーツだと思っています。どのスポーツもそうだと思うんですけど、すごく認知的になりやすいスポーツだと思うんですよね。人の妨害もないので、負けたら全部自分のせいになってしまうっていう中で、自分と向き合っているからこそ、例えばフォームのどこを修正していこうとか、どんどんそういう考えになっていって。自分が今出せるベストパフォーマンスじゃないところをつぶし始めてどんどん崩れていくスポーツだと思っていて。だからこそ、もちろん試合になると出る悪い癖とかあると思うんですけど、それを含めて今のこれが自分なんだ、これが100%なんだって信じられるメンタリティは僕は必要だと思います。

 

辻先生)なるほどね。信じられるって感じですね。

 

大井さん)はい。

 

辻先生)信じきれているから自然体になるのかなと思ったんだけど、アーチェリーにおいて自然体っていう感覚はどうなんでしょう。もちろん高いエネルギーがないと継続できないでしょうけど、気合と根性がいくらあったってダメなスポーツのように思えます。

 

大井さん)そうですね。おっしゃるとおりで、気合と根性があっても何も解決しなくて、例えば今ここで全力を出してやろうって力を入れたとしても逆にマイナスですし、何もいいことはない。必然的に自分がリラックスした状態、集中した状態が求められるスポーツなので。自分が気合を入れようと思うことで集中できるタイプの人もいるのですが、私の場合はそうではなくて、緊張とリラックスが共存できる空間があって、その状態がベストだなって思っています。

 

辻先生)集中とリラックスの共存、フローっていう感じはまさにハマってますね。

 

大井さん)それは本当にこのスポーツから一番感じましたね。

 

辻先生)そうだね。大井くんがそこに投資して、フロー状態をちゃんと目指す感覚になったのはいつ頃なの?インターハイもインカレも、全日本も優勝してるけど、オリンピック目指すとなるとまた違うのか、いつ頃からどのように、もっと高いレベルのフローの感覚を求めるようになったの。

 

大井さん)時期としては大学4年生からですね。高校大学って部活としてやっていた中で、運良くそこそこうまくいったのでインターハイとかインカレとか優勝できたんですけど、どの指導者からもメンタルが大事だって言われながらも、その時はメンタルが何か全くわからなくて。みんな、的に当たらなかったら、メンタルが弱いんだなって口々に言ってました。何かわかっていないのにある程度認識があったんですよね。

 

辻先生)なるほど。

 

大井さん)大学4年生の時に、今の韓国人のコーチに出会って、そのコーチの監督をされていた韓国人に、韓国まで会いに行ったんですね。その時に心技体の言葉の話をしてくれて、心技体ってあるけども、順番は逆で、「体→技→心」だと言われたんですよ。体(体力)があって、はじめて技術ができて、技術ができてはじめて心がわかるっていう話を受けて、なるほどって思って。その韓国のコーチに変わってから、はじめて体もしっかり作ったんですよ。走ったり、トレーニングもして。技術に関しても、練習量がだいたい学生時代の3倍になったんですよ。そうやって技術もできて、メンタルとはなにかっていうところの本質がやっと見えてくるようになった。

 

辻先生)韓国っぽいね。俺は「心体技」なんじゃないかなって思っていて、心が備わらないと体がつかない、体がついてこそ技が発揮される。結果に1番近いところにある技がやっぱり結果を作ってるんだけど、その技の土台となっている体がなかったら技は磨かれないし、さらに言うと体を支えているのは実は目に見えない心なんじゃないかって。

 

大井さん)それは僕もその通りだと思うんですよ。ただ、例えば一生懸命になるのが楽しいと感じるとか、そういう心の整え方が僕は自然とできてたんですよ。だから自分の中では、体とか技を磨くところに関して、ノンフローな状態にならなかったんですよ。

 

辻先生)ああそうか。

 

大井さん)だから、辻先生にお会いして認識した話なんですよ。

 

辻先生)なるほどなるほど。大学四年くらいまでは心に対する認識が無意識でしかなく、ほぼ技でいって、そこに体が入ってきて、それから僕の話を聞いて心に対する認識が深まって、どれも大事だっていう感覚になったっていう事ですね。

 

大井さん)あとはアーチェリー競技の特性もあって、技術面で卓越した技術って、やっぱり頭打ちなんですよ。だから結局最後に決まるのは心の部分。っていうのもあったと思います。

 

辻先生)いい話ですね。Dispoは、機嫌が良くないと目標や夢も追いかけられないよってことを子供たちに伝えていくことに興味を持っているアスリートたちの集まりなんですが、まだ若い大井くんから見て、教育に関して思っていることや感じていることはなんですか?

 

大井さん)身近なところで言うと、一緒に練習してるのがJOCのエリートアカデミーの中学生高校生の子たちなんですね。僕自身、高校の時も大学の時もキャプテンをやったんですが。その子たちは、監督の方針もあってチームで動けというような指示を受けていて、すごい苦労をしているんですね。っていうのもあって、その時期に本人たちが苦労することがいかに大事かっていうのを身に染みて感じている。

 

辻先生)向き合うことの大事さだよね。

 

大井さん)はい。そこにプラスして、私はたまたま親の教え方とか出会った人がほんとに良かったので、辻先生についていった部分もありますけど、自然とご機嫌の価値を感じられていて、今会社に所属していて、そうじゃない人がいっぱいいるのが、なんか悲しいなと思う部分があって。でも大人ってもう自分の芯がある程度通っているので、やっぱりそこを変えていくのは小さい頃しかない、純粋な頃しかないっていう思いもあります。

 

辻先生)なるほど。

 

大井さん)1番は、生きてて楽しいのかな?と思われる大人が育たない社会が来て欲しいなって、僕は思っています。

 

辻先生)そうだね。会社に行くと余計気づくよね。

 

大井さん)はい。だからこそ余計に、せっかく生きてるんで、楽しく心豊かに生きて欲しいと思うので。

 

辻先生)わかるわかるわかる。せっかくだからね。死ぬことだけは間違いないからね。

 

大井さん)生きるために仕事をしてお金を稼ぐっていうのが楽しければ僕はいいと思うんですけど。そうじゃない人もいっぱいいると思うので。

 

辻先生)それはやっぱり、改めてビジネスマンとして社会に出て、企業のサポートをいただきながら、社会人と付き合ったり、JOCの中で若者と付き合ったり、こうやってDispoの人たちと付き合うことで、より感じていることでもあるよね。

 

大井さん)そうですね。やっぱり会社とDispoだと、組織の違いが明らかなんですよね。

 

辻先生)そうだね。僕らのテーマはご機嫌っていう概念ですが、ご機嫌は大井くんとしてはどのような位置づけにあるんですか?

 

大井さん)僕は、心の豊かさに直結すると思っていて。心の豊かさで、人生の質であったり、細かいところのパフォーマンスであったり、全ての質が上がると僕は思っているので。

 

辻先生)そうだね。みんな、認知的に物の豊かさに右往左往して、とらわれて持ってかれているんだけど。25歳で心の豊かさが大事だと言えるのは、やっぱりアーチェリーをやっていたからなのかな?

 

大井さん)アーチェリーのおかげな部分は非常に大きいと思います。スポーツそのものが、生きるためになくてはならないものではないじゃないですか。それでもやっぱり必要なものだとは思うんですよ。そういう意味でスポーツ自体も心の豊かさを追求できる手段の1つかなって思っています。

 

辻先生)そうね。いいこというね。だからスポーツは文化なんだよね。カルチャー、人間として耕され心が豊かになっていく人間活動の文化の代表の1つがスポーツだし。文明っていうのは物の豊かさだからね。人間にとって文明至上主義ではあるが、文化もやっぱりなくてはならないからなあ。じゃあ、自分がご機嫌になるために何か大事にしていることってある?

 

大井さん)やっぱり周りを大切にしたいっていう思いがあって。自分がご機嫌でなくなったときって、自分もプラスではないし、周りもプラスではないし、誰も得をしないわけで。やっぱり普段過ごしているコミュニティは家族だと思っていて、そういう人たちとは楽しくいたいと思うので。

 

辻先生)そうだね。そこを大事にしていれば、自然とご機嫌でいる必要があるからね。不機嫌な人といたい人いないからね。

 

大井さん)もちろん、無理矢理ご機嫌に持っていくっていう感じでもないので、嫌なことがあったら、嫌な気持ちにはなりますけど。

 

辻先生)そうだね。無理矢理は違うよね。

 

大井さん)はい。あくまでも自然体の中で。

 

辻先生)悔しい時は悔しいし、だから感情も大事にしながら受け止めて、でもその感情を受け止めた上で、気づいて心豊かに生きていきたいなと思ってたら自然体になってくるんだよね。

 

大井さん)はい。その感情も自分の中で処理できてしまえば、そんなに思いっきり表に出す必要はないと思ってるので。

 

辻先生)そうだな。いいこと言ってくれるね。じゃあ次の質問ね。Dispoに集まるアスリートたちと触れ合うことや、Dispoの活動自体に関して、どう感じていますか?

 

大井さん)活動に関しては、私もまだ社会人になって3年目で、ほぼ競技に時間使わせていただいてもらっていたので、自分にとって初めての社会なんですよ。だからわからないことも多くて、そういう意味ではほんとに皆さん頼もしいなって思いますし、その中でも、目的がはっきりしているっていうのが一番僕にとって嬉しいことですね。目的がはっきりしているだけで、こんなに動きやすいんだと。普段自分1人でやっていることをみんなでやれている組織だと思うので。すごく勉強になってます。

 

辻先生)あー。会社っていう組織は、所属はしているけど、目的をみんなで共有して動いてないもんね。

 

大井さん)もちろん部署単位とかだと目的共有されてるかもしれないんですけど。大きくなると会社の理念とかになるじゃないですか。もっとぼやっとしたものになってしまうので。

 

辻先生)なるほど。Dispoは君にとってはすごくいいコミュニティの一つだね。

 

大井さん)はい。メンバーについても、ほとんど先輩方ばっかりで、それだけ経験してきたものが違うので、勉強になることばっかりだなと毎回思ってます。一緒にいて楽しいっていうのは1番にありますね。

 

辻先生)最後に、今後のビジョンと今取り組んでいる事について教えてもらえる?

 

大井さん)僕は将来的にはアーチェリーの世界に関わっていきたいと思っていて。っていうのも、さっき言ったように、アーチェリーも充分心の豊かさを感じられる素質があるスポーツだと思っていて。ただいろいろな障害があって、あんまり皆さんに触れていただけないところもあるので、普及だけじゃないですけど、皆さんの選択肢の中にアーチェリーを入れてもらいたいなという思いがあります。もちろんそれは選手としてできることもあるんですけど、今のアーチェリー界だと、選手としてアプローチしている人もそもそも少ないですし、選手じゃない立場からアプローチする人なんてましてやもう本当にいないですよね。そういった面で何かできることがあればいいなと。今は選手なので選手目線で考えた上で、SNS動かしたりとかが精一杯なんですけど。

 

辻先生)たとえばラグビー界だと、ラグビーがもっとみんなに近づいて、ラグビー文化を形成していこうっていう思いを脈々と受け継いで、いろんな人たちがいろんな形の中でやってるけど、アーチェリーはまだまだそういうレベルにはなってない感じなの?

 

大井さん)もちろん細かい目で見れば、地方ごとにあったりはするんですよ。細々とやっているクラブチームがあったりとか。けど、ラグビーみたいに大きな規模で動けていないとは思います。

 

辻先生)テレビでもやらないしな。

 

大井さん)そうですね。これでも一応オリンピック競技なのですが。

 

辻先生)そうだよな。メダルも取ってるしな。

 

大井さん)普及の問題もありますけど、あとは、今アーチェリーの選手ってほとんど大学で辞めちゃうんですよ。業界としての魅力、価値がまだ高くないので、選りすぐりの数パーセントの人間が社会人になっても続けるみたいな状況。こんなに選手生命が長いって本人たちが言ってるにも関わらず、そういう現状なので。

 

辻先生)いつでもどこでも、アーチェリーもどきみたいなものを体験できる機会っていうのはあるの?

 

大井さん)それも正直ないんですよ。だから、どこでできるの?みたいな質問も多いです。本格的なアーチェリーじゃなくても、ただ弓と矢があるくらいのレベルでもいいと思うので、もっと選択肢が広がって、アーチェリーの世界自体の価値も上がっていってほしいなって思っているので。

 

辻先生)そこはまだ根深いけど、まずは現役だから、オリンピックに出ることが全てじゃないけど、オリンピックに相応しくさらにもっと向上してもらいたいなと思います。

 

大井さん)はい。