福島梨絵 (フクシマ リエ)

ブレイキン

プロフィール

15年以上に渡り世界大会で50回以上優勝するという偉業を成し遂げるBGIRL界 のパイオニア的存在。
「夢や目標に向かって挑戦し続ける」をテーマに活動し、Body Carnival Crewのリーダーも務める。
2016年にはNHKのドキュ メンタリー番組 「ハートネットTV ブレイクスルー」に出演。
2018年アルゼンチンで開催されたYouth Olympic Gamesではブレイキンの初開催が決定し審査員に任命される。
その一方、ダンスを通じた社会貢献や教育メゾットを伝える活動を積極的に行い、現在も海外や日本各地の大会に参加し現役活動を続けながら、日本ダンススポーツ連盟 ブレイクダンス本部副部長、パリオリンピックナショナルコーチ、オリンピック強化選手コーチ、審査員、ワークショップ講師として世界中で活躍中。

<好きな食べ物>

1.フルーツ

2.ラーメン

3.煮物

<ご機嫌の価値>

1.落ち着いて周りのことを見れる

2.良いアイデアが浮かぶ

3.人をもっと好きになる

<関連情報>

Facebook

Instagram

HP

インタビュー

辻先生) 今日はブレイキンのNarumiちゃんとトークしたいと思います。まず最初の質問は、ブレイキン、ブレイクダンスの魅力について。パリのオンピックになるスポーツとしてのブレイキンなのか、長年やられてきたNarumiさんしか感じてないブレイキンの魅力みたいなものを語ってもらえますか?

Narumiさん) ブレイキンの魅力はいっぱいあるんですけど、私が1番やっぱいいなぁて思うのは、コーチがいないことが結構大変で、ダラけられる二面性もあるんですけど、自己管理を全部自分でやらんとダメとか、チームも自分たちで全部考えないとダメ、だから考える力がものすごく身に付きます。

辻先生) 良いですね。今の教育で、特にスポーツは、やらされて監督の言われたまんまに「はい」と「すみません」だけが横行する傾向にある中で、自分たちで考えなあかんてことなんですね。

Narumiさん) そうなんです。だから、間違っても全部自分の自己責任というか、例えば練習のやり方が間違ってたり、ダンスの向き合い方が間違ってるわけではないんですけど、やり方があんまりよくないと全部自分に返ってくるし、自分のことを客観的に見れんとダメで。それを私やったらチームメイトに助けてもらって。私はやっぱり自分で考えることってすごい大事だと思う。自分が教えているちっちゃい子供とかにもアドバイスはするけど、絶対自分で考えるように、というのは常に言いますね。

辻先生) じゃあ今、自分で考えて、自分で発見して、自分を内観して客観視していくことが日本の教育かけている中で、ブレイキンの体験というかスポーツは、そこの部分に凄くいいよね。

Narumiさん) そこは、すごい自分にとってよかったなと思える部分なんで、大変な時はいっぱいあるんですけど、その大変なことをいっぱい経る分、返ってくるなぁと思いました。

辻先生) それは、Narumiさんだからブレイキンでそういう風に感じるんですか?それともブレイキンというスポーツ、今はあえてスポーツと言うとすると、だからこそなんですか?他のダンスと何が違うのでしょうか?

Narumiさん) いや、他のダンスもダンス全般がそうなんですけど。でも、ブレイキンが1番、バトル文化が大きいと思っていて。他のダンスももちろんバトルはあるんですけど、例えば、コレオといって、振り付けやったり、先生が作った作品とかもあるんですよ。もちろんそのコレオが成長してったら、結局は自分で考えるんで、誰かにプロデュースされるわけではなくなるんですけど。バトルは戦うじゃないですか。戦う時に精神力もすごく問われるし、練習も例えば1個のことをずっとずっと突き詰めていくんじゃなくて、色んな要素が必要なんですね。やっぱり。踊り、もちろんダンスなんで音楽も大事で、しかもバトルはその時にならないとどの曲がかかるかわからんし、曲の雰囲気をどう表現するかっていうのも自由っちゃ自由なので、センスが問われる部分もあるし、後はその動きをただあれやって、これやってじゃなくて、ある既存の動きでも方向であったり(ダイレクション)とか、どうつないでいくか(トランジション)であったり。あと、全員体つきが違うじゃないですか、それをどういう風に自分の体をコントロールして動かすか、ボディコントロールであったり。で、それ以外にオリジナリティ、クリエイティビティのある動きであったり、ダイナミックな派手な動きであったり、アクロバットなど、いろんな要素をどうやって自分なりに組み立てるか。組み立てるといったら、なんかギシギシなっちゃうんですけど、

辻先生) 音楽がなったら、考えずにもう反射的に体が動いていく作業なの?それとも考えて組み立てるの?

Narumiさん) 私個人の考えではあるんですけど、反射的が1番理想です。反射的が1番理想なんですけど、大会とかで言えば、リピートといって、あんまり同じ動きをしない。よく勘違いしはるんですけど、同じ動きをしたらダメというよりは色んなバリエーションを見せて欲しいというか、こんな武器もあんな武器もあるよみたいな意味で、同じような似たような動きをあまりしない。このリピートになった時に頭で考えないとダメな部分も出てくる。そのバランスがすごい難しいんですよ。例えばAの1を使いました。なのでAの1を端折ります。Aの1にいかないように動かんとダメなんですけど、それが私の自由にやるのが1番理想であるんですけど、それを緊張しながら音楽も聴きながら、全部自由にやるのは私は結構難しいと思うから、決める部分があるんですけど、じゃあ決めたことをそのまんま、次はじゃあプランBでみたいな感じでバンッてやったところでやっぱりそのエネルギーだったりとか、音楽性とかは全然伝わらないんですよ。

辻先生) そうだな。深いね。バトルって試合形式でいうと、オリンピックに向けて1:1だったりすると何分くらいなの?

Narumiさん) それよく聞かれるんですけど、何分くらいはなくて、大体1分弱です。1人につき踊るのは。で、その1分弱がポンポンポンで交互に来る感じなんですけど、例えばこっちの人が先攻だとするじゃないですか。こっちの人の後、もう一人の人が踊るじゃないですか。で、曲が変わってって感じです。おんなじ曲で1回ずつ踊って、曲が変わって1回ずつ踊ってて感じで。

辻先生) 先行の方が有利とかあるの?

Narumiさん) よく言われるのは、後攻の方が有利って言う人は多いんですけど、それはなんでかって、相手がどんな動きをして、どうアンサーするかていうので、後攻のが有利って。単純に後に踊るから印象に残りやすいとかあるんですけど。逆に先攻が有利な点は、自分でその空気を作れるから

辻先生) とらわれないもんね。

Narumiさん) 先に作っちゃって客さんを味方につけるのか、自分の空気感をしっかり出す、ちゃんと見せちゃえば、アンサーする側が逆にハードル上がるから。一概にどっちが有利というのは私は言えないと思ってるんですけど、世間的には後攻が有利と言われてますね。

辻先生) 審判はどうやって評価するわけ?勝った負けたを。

Narumiさん) どうやって点をつけていくとかではないんですけど、相手が2人とも踊るじゃないですか?その間に、私の場合、さっき言ったような項目、どういう体を動かしてるかどうか、どう繋いでいくか、どういう風に曲を表現するか、どうやって自分の踊りを表現するかとかをパパパッと頭の中で整理して、結果を出すんですよ。それが、ダンススポーツの方になると、ちゃんと点数とか一般の人が見ても勝ち負けがわかるように、例えばユースでいったらipadの表になってて、いろんな項目が書かれてて。今回の全日本選手権とかだと全部で16項目くらいの紙になってて、それにバーーて点数につけて、それが最終的にグラフになるって感じです。

辻先生) フィギアもシンクロもみんな同じだよね。色んな採点項目があってそこに点数つけていくから。点数が出るの?これからのオリンピックは。

Narumiさん) オリンピックは出ます。ただどういった採点方法で行くかの最終決定はまだしてないです。今までやったユースであったりとか、前例がある大会があるじゃないですか。ダンススポーツの方の。その大会の中のルールが基準になって決まっていくと思います。

辻先生) そのブレイクダンスをNarumiさんは何歳ぐらいから始めたんでしたっけ?

Narumiさん) 私は20歳です。なので、一般的にはかなり遅いですね。

辻先生) Narumiさんは小学生の頃はどんな子供だったの?小学生の頃。

Narumiさん) 外ですごい遊ぶ子供でした。学校が終わったら、私、鍵っ子やったんですけど、学校で一輪車よくしてて、帰ってきたら家の前でスポーツをして遊ぶのか、習い事を週5くらいでやってました。時代古いんですけど、そろばんとか習字とか、時期によるんですけど英会話とかやってた時もあるし、あとはスポーツは、バスケとかバレーとか剣道とか、水泳もやってました。

辻先生) 小学校の頃、お父さんお母さんはNarumiさんにどんな子育てしてたという印象がありますか?

Narumiさん) あんまり口うるさくなかったです。昔から。結構、奔放ていうんですかね。

辻先生) あれやれ!これやれ!とかなく?

Narumiさん) あんまりなかったです。水泳とかだと、お母さんが泳げへんかったらしくて、やっぱめっちゃ困ったらしいんですね。友達とプール行くとか海行く時に泳げへんと溺れるじゃないですか。だからそれが可哀想やなと思って、水泳を通わせてくれたんですよ。で、私も妹もやってたんですよ。妹は選手コースまでいって、私も選手コースの一歩手前まで行ったんですけど、それでも私はずっとタイムを競ってるのがちょっとしんどくなって、辞めたいって言った時も、あまりギャーギャー言われたりは特になく、これやれあれやれと言われた記憶もあんまり無いです。

辻先生) dispoのアスリートたちみんな競技違うけど、メンタルが大事だよねっていうのが共通の横軸なんだけど、ブレイキンの中で、メンタリティ的に言うとどんな事が大事なんですか?

Narumiさん) 大会中、自分が選手として参加する時に私が1番思うのは、他者と比べないこと。あとは、例えば、会場の床状態であったり、お客さんの雰囲気とかって毎回違うんですけど、そういうことに囚われない事かな。
揺らがす、囚われずとかもやし、まず他者と比べへんて、結構簡単には言えるんですけど、やっぱ当日会場行った時にレベルが高かったりとか、ほんまにレベルが高いイベントでも人数が招待された人だけのイベントとかがあるんですよね。そういう人が一斉にバッとウォーミングアップすると、急に、ちっちゃいちっちゃい普段気にならないようなことが気になったりするんですよ。ワッ!て。そんなん普段のイベントやったら気にならへんのになって。例えば、ヨーロッパで舞台の上に床を貼るんですけど、その床がめちゃめちゃ滑るんですよ。日本で経験する感じの床じゃないんですよ。とにかくヨーロッパでしか見た事ないんですけど、その床。私、その床すっごい嫌いで(笑)
初めてその床でバトルってなった時に、たぶん今より体幹とか無かったんですよ。だから、ちょっとした事で滑りそうになったりとか、だからすごく不安になってきて、練習してきたことがちゃんとできるかとか、ちょっと難易度が高い技とか失敗するか半々みたいな動きとか急にやるのが怖くなってきて、やっぱり案の定ちょっと滑っちゃうんですよ。勝ち負けというよりは自分が出しきれへんという不甲斐なさがすごい残るから。その後「あ、これ体幹の問題や」って気づいて。その後、男女混合の大会に出たんですよ。男も女も混ざってる大会だけど、男の人の中に私1人だけゲストで入ってたんですね。で、「自分、全然やな」ってその時にすごい思いました。体幹とか基礎的なことがもう全然追いついてないと言うか、派手な演出や勢いとかエネルギーで誤魔化して勝ててた部分とか全部、ただ単に動きの基礎的な部分が足りひんから、こんなことでちょっと滑ったりとかするんやなぁてそこで私反省したんですけど。そういうちっちゃいちっちゃいことに向き合うきっかけにもなるんですけど。ちっちゃいちっちゃいことに私は結構、左右される競技だと思うんです。だって、まず音楽が、得意不得意とかもあるんですよ。自分が好きな曲ならバーンて上がるけど、自分が好きじゃない曲の時に、良い状態に持っていくのとかもすごい難しいし。そういうセンスがボーンてずば抜けてる人もいるんですけど。

辻先生) さっきも揺らがず囚われずっていう、僕らが大事にしてる言葉の使い方もあるんですけど、どんなメンタリティが大事だという風に言語化すると、一言で言えますか?ブレイクダンス、ブレイキンやるならこういうメンタリティが無いとうまくいきにくいよと言うとしたら。

Narumiさん) こういう映画あったじゃないですか。『冷静と情熱のあいだ』ていう映画。その言葉が私近いと思うんですよ。あの映画の内容じゃなくて、ちょっと冷静でもおらなあかんけど、情熱的でもないとダメ。私はすごい大事かなて思う。それは人によると思うんですよね。自分の踊り方的には、私は平常心すぎたら、ほんまにそのまんまいっちゃうんですよ。一回平常心でいくというのを試したことあるんですけど、いつも通りいつも通りと思いすぎたら、ほんまにいつも通り上がり過ぎず下がり過ぎずなんですよ(笑)「いつも通り」は、私には合ってないんですけど、あくまでいつも通りなんやけど、どんだけ自分のテンション、ダンスをグンと上げれるか。大事やと思いますね。

辻先生) やっぱり表現するスポーツでもあるから、きっとそうなんだろうね。ちょっと話変わるけど、dispoの中で子供達のご機嫌を大事にしていこう。自分の心が大事だっていうことに気づいてもらおうていうのが大きなテーマなんだけど、今の社会を見ていたり、子供と触れ合ったり、お父様お母様と触れ合ったりしてる中で、今の教育ていう世界の中に課題意識みたいなものを感じることはありますか?

Narumiさん) 私がちっちゃい時と、今、社会の人が感じてることは変わってきてると思うんですけど、例えば私の時とかはそこまで自己表現とかもそんなに強く認識してるイメージは無くて。規律を守れと細かく私は言われた訳やないんですけど、どっちかいったら、集団に溶け込むというか。それは自分が海外行きだしてから気付いたんですけど。それが今現在、学校、小学校、中学校で、そこの教育の仕方がもっとよくなるんじゃないかなと思います。学校や先生によって違うとは思いますけど。でもやっぱり、守るとか合わせるとか、相手のことを思いやる気持ちとか感謝はすごい大事やと思うし、でも、自分の個性みたいなのを伸ばすのもすごい大事やと思うけど、伸ばしすぎて周りが見えなくなるとただのわがままになるじゃないですか。だから口で言うのは簡単ですけど、そこのバランスが自分が教えるとなると相当難しいなぁと。特に私とかダンス教えるとなれば、学校じゃないから。相手が求めてきてるので、学ぶ姿勢があるんですね。
やっぱ学校とか義務教育となると、全員に対して教えるから、もっと難しいとは思うんですよ。そこは私はやり方というかもうちょっと良くなればいいなぁて思います。

辻先生) 子供達に教える機会もあって、そこで、保護者の方々とかの接点とかもあったりして、その保護者の方と何かこう接点ある中で、何か感じることとかありますか?

Narumiさん) あります。私はちょっと過激やなて思う親御さんもいますけど、私が結構はっきりバーンて言う性格なんで、あんま過激な人、私のところには来ないんですよ、逆に(笑)

辻先生) ハハハハ。

Narumiさん) っていうのに最近気付きました(笑)

辻先生) みんなお父様お母様も受け身な感じ?

Narumiさん) 受け身やけど、やっぱ私が1番思うのは、中学とか高校になると、あと小学校高学年とかになると、子供が自分で、さっき言ったようにブレイキンて自分で考えるじゃないですか。練習とかも。それがほんまにやる気ある子が出てくるんですよ。
例えば、小学生って、自分がこれに向けてやってる子もいれば、ほんまに楽しくやってて、練習もその子は頑張るんやけど、そこまで深く考えてないんですよ、楽しいから。じゃあ例えば楽しくやってる子に、もうちょっと基礎を伸ばしましょうって言ったところですごく難しいんですよ。私は、自分で考えられるようになるまで待った方が良いと思うんですね。例えば、下手くそでもその子が楽しそうに踊ってるのを止めさせてまで、「結果残したいなら基礎やりな」とか言うのは、私はどうなん?と。ブレイキンの良いところの1つにクリエイティビティがあって、創造性があるのに創造できひんくなっちゃうじゃないですか?
だから、それが甘いって言う人もいるかもしれないけど、もちろん厳しく言うことは言って、でも、その子に今できる範囲内かどうかで私は教えるんですけど、やっぱ親御さんが1個のイベントで熱くなりすぎて「もっとアドバイス下さい」とか、もっとこうしたら良いとかあーしたら良いとかあるけど、私は勝つために何ヶ月間でその部分を修正できるような簡単なもんでないと思うんですね。だから、それが結構難しいなぁとは思いますね。

辻先生) 難しいね。

Narumiさん) でもそれは親御さんの協力があるから、その子はそこまで活動できてるし、その親御さんが「やりたいようにやり」って放ったらかしだとわざわざ関西の子は東京のバトルに連れていくとかやってくれないと思うんですよ。それは親御さんが熱かったり、その子がどうにかしてこの子が頑張るんやったら協力したいって言う姿勢を持ってもらってるから、その子はわざわざ遠いところのバトルに行けてるわけやから。すごい難しいなと思います。

辻先生) 難しいね。答えは無いだろうけど。ブレイキンの世界では、子供達に教える指導者、これからオリンピック競技になってますますだと思うけど、指導者っていうのはまだまだ審判員も含めてですけど、そんなのまだ無いんでしょ?

Narumiさん) 無いです。育成の資格とかも無いし。例えば、まだ審判員の資格とかも無いから、でもダンススポーツになるにあたって、たぶんそういう風に私はなっていくと思うんですよね。今は例えばダンススポーツの大会の審査員呼ぶ時に、もちろん経験値が無い人は呼ばないんですね。世界の大きい大会で、審査をされている人とか、その人の審査員としての実績もかわれて、呼ばれてる感じなんですよ。だから、逆にギチギチ点数点数って言うんですけど、私たちの今まで通り感じてることを点数におこすだけって感じなんですよ。なんですけど、今後教えるって、教えている先生、その子が身に置く環境によって結構変わる部分って大きいと思うから、ほんまにその子がおっきい大会を目指すてなった時に先生の知識がないと難しいと思うんですよね。昔みたいにその子にじゃあ、その子が恵まれた身体能力があって、ボンって伸びたからって急にその子が日本一になれるようなレベルではないんですよね。恵まれた体とかセンスがあったらラッキーなだけで、その子がどういうブレイキンに対する向き合い方というか、考え方を知らないことを、技じゃなくてね、教えてあげるのがすごい大事やと思ってるから、それって、先生側にずっと学び続ける大切さを理解出来てないと無理じゃないですか。今現在のダンスのあり方、シーンのあり方であったりとか、例えば、10年前と今じゃ全然違うのに、10年前の知識で教えてたら、その子は無意識のうちに時代遅れなダンスの考え方になる。
だから審判員もそうだし、教える側ももっとアップデートしようていう気持ちが先生側に無いと、私は逆に、若い芽を潰すと思うんですよね。

辻先生) そういう指導者育成制度みたいなのはまだ確立されてないの?これから?

Narumiさん) たぶんこれからされるようになっていくとは思うんですけど、まだされてないです。で、こうなるよみたいな予定も特に無くて、こうしないとダメになってくるよねっていう話の段階。

辻先生) なるほどね。Narumiちゃんがんばってね。

Narumiさん) 頑張ります。

辻先生) ちょっとまた話戻すけど。dispoの「揺らがず囚われず」とか「ごきげん」とか心を表現する方法は、さっき言っていたように「情熱と冷静のあいだ」とか色んな言葉だったり表現はあると思うんだけど、この概念みたいなものはブレイキンのNarumiさんにとっては、どんな印象ですか?

Narumiさん) 私、ご機嫌は普段の練習でめちゃめちゃ大事やと思います。 普段の練習がご機嫌にできてたら、当日、絶対ご機嫌になれるんですよ。だから、普段の自分の練習の状態。普通のことですよね、毎日繰り返されることの中に、ご機嫌があったり。例えば1番良いのはチーム活動ですね。ご機嫌にやらないと、やっぱり良い物って生まれないし、良い空気感も流れないんですよ。だから、怒ってばっかりもダメやし、自由すぎてもダメで、その締めるとこは絞めれるように全員がなると、いちいち怒ったりとか空気感悪くならずに済むから。主体性を伸ばすことが大切だと思います。

辻先生) ご機嫌で厳しくやれるようになるってことね。練習の時ほど、その事の重要性が見えるよね。なるほど。Narumiさんがご機嫌でいる為に大事にしていること、大切にしていることは何かありますか?

Narumiさん) 小さい変化に気づくことと、

辻先生) おー、素晴らしい。

Narumiさん) ありがとうございます。小さい変化に気づくことと、集中して考えるだけの時間を作ること。あと自分の体に敏感であること。今日、体の調子が良いとか、特に私とかは年齢的にもほんまにリカバリーに時間がかかるし、長年の蓄積じゃないけど、やっぱ痛む部分が絶対出てくるんですよ。練習を詰めれば詰める程。それをじゃあ、焦って詰めても、あんまり効率が良い練習にならへんのですけど、休み過ぎると練習全然できひんくなるから、足がめっちゃ痛い日は練習休むじゃなくて、上半身中心の練習に変えたりとか、それがやっぱり自分の体に鈍感だとすぐ怪我します。

辻先生) 自分の体の声を聞こえることもご機嫌を体とともに維持できる方法の1つでもあるよね。じゃああと2つ質問を。1つ目は、dispoにいるいろんなアスリート達に対して、どんな感想がありますか?

Narumiさん) みんな、感謝の気持ちが多い人が多いなぁてdispoの人はすごい思うのと、多様性を受け入れれる人がめっちゃ多いと感じてます。

辻先生) 何か固定化されてガチガチの枠組みの中で人を見たりしない傾向がみんなあるよね。

Narumiさん) あります。やっぱりダンスはあまりスポーツていう印象は無いじゃないですか?だから、初めdispoの活動に声をかけてもらった時に、若干不安があったんですね。自分がやってることへの自信とか知って欲しい気持ちも多かったし、色々な人の話聞きたいて思ってたんですけど、やっぱスポーツ界でいえば、新しく参入して来た者だから、それが周りの人に受け入れてもらえる、興味を持ってもらえるかの方が心配でした。「ふーん」くらいで終わるのか、ブレイキンに対して、「え、そうなんや」て思ってもらえるのか不安だったんですけど。初めに行った時にみんな色々聞いてくれはったりとか、興味を示してくれはって、すごい安心したの覚えてます。

辻先生) そうだね。みんなでそれぞれのスポーツを語り合えたらもっと楽しくなるなぁとは思うけどね。

Narumiさん) ですね。そういう時間があればすごい為にもなるし、

辻先生) みんなの競技を持ち寄って運動会したいよね。いつかやりたいなとは思うけど(笑)

Narumiさん) いや、やばそうやばそう。各自がレベル高いからな。まじで

辻先生) トップしかいないからね。で、且つみんな負けず嫌いだからねどこかで。

Narumiさん) そうそう。やばそうそれ。やりたい。

辻先生) じゃあ最後!ブレイキンを長くやられていて、世界チャンピオンにも何回もなって、これからオリンピックで、ブレイキンの世界の色々な形を作って行かなきゃいけなかったり、子供達に教えていたり色々な事をされている中で、Narumiさんのこれからに向けてのご自身のビジョン、今こういう事やろうとしてるんだとか、実際やってる活動でもいいんですけど、最後少し話をしてもらえますか?

Narumiさん) 完全に個人的なことでもいいですか?個人的なプレイヤーとしての面で言えば、私ちょっと長いこと肩を痛めてるんですけど、それが長年の蓄積、使いすぎなんですよね。だから、関節が普通に消耗されてる部分であるから、それをどう筋肉で補っていくかなんですけど、筋肉を補いつつ、柔軟性もいるし、2年前くらいから痛かったのに、本格的にちょっとこれ治してみようかなって思ったのがコロナに入ってからなんですよ。大会も無くなったし、あったら、焦っちゃうんですよ。ずっと自分がもうダメなんかもみたいな。自分自身で自粛できないですよね(笑)チームメイトとか出てたら、出れない自分がダメに感じるから、ここやと思って。ここから基礎的なトレーニング始めたり、ケアで、例えば先生のとこに通う量を増やしたりとか自分で地味なインナーマッスルを始めたりとか。そういうことを今頑張ってるんですよ実は。

辻先生) 少しは改善傾向あるの?

Narumiさん) 全然あります。初めは右肩で逆立ちとか、ちょっと右肩だけで入ってとかも痛かったんですよ。右肩に体重が乗るっていう行為が痛くて、ほんまに不便やったんですよ。

辻先生) 右肩だけで体重を乗せて逆立ちして、それはよろしくないけどね。じゃあ今のビジョンはまだアスリートとして、ダンサーとして、このコロナの機会に少しでも回復して、改善して、治していく方向でまだまだチャレンジしようていうのが今の大きなビジョンの柱?

Narumiさん) そうですね。大きい。特に1:1のバトルはこの怪我を抱えてるから出れんくなったんですけど、怪我を抱えて出られるほど甘くないなて思ったんですよ。レベルも低くないし、自分で思うような練習もできひんのに、良い結果ついてきいひんから、ほんまに悪いこうサイクルやから、1:1以外に出てたんですけど、もしこれが治って、自分がまだ出来るなて思ったら、年齢も年齢やけど、あと1回くらい出ようかなて思ってます。

辻先生) なるほど!オッケー。Narumiさんの決意を最後に聞いたとこで、今日のインタビュー終了したいと思います。

Narumiさん) ありがとうございます。